なぎさ海道

大阪湾・播磨灘・紀伊水道 人と海がふれあう空間

特集

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vol.5
2015.12.14




福良港に設置されたトラフグ養殖用の生簀。この中で3年間育てられる。




生簀の中で元気に泳ぎ回るトラフグたち。


大阪湾でトラフグ資源を
増やす取り組み
実は近年、大阪湾だけではなく全国的にトラフグの漁獲高は減少傾向です。 関連の研究所では養殖のための飼育技術や種苗生産、種苗放流の研究が推進されています。

トラフグの養殖は、種苗生産や飼育技術が確立した1980(昭和56)年ごろから長崎、熊本、愛媛などで盛んに実施されていますが、需要が多い大阪近郊の海でも上質のトラフグ養殖が実現しています。 日本でも有数の優れた養殖環境と北濱さんも太鼓判を押す兵庫県の淡路島の南端、福良沖の「淡路島3年とらふぐ」(2004年に地域団体商標に登録)です。25年ほど前から毎年5~6月、国内の種苗業者から購入した稚魚を育て、3年目の冬に出荷。2年ものが中心の他産地に比べ、重さは最大2倍近い1.2~1.8kgに育ちます。生簀は湾の入り口にあり、鳴門海峡の潮流にもまれて鍛えられたフグたちが、この冬もたくさん出荷されることでしょう。

また、近年のトラフグ資源の減少を少しでも食い止めて資源の維持を図ろうと、西日本を中心に種苗の放流が行われています。大阪府でもこの7月に体重8gほどのトラフグの種苗1.5万匹が、貝塚市の近木川河口、泉南市のサザンビーチ、阪南市の男里川河口の3カ所に放流されました。順調に成長すれば2年後には、体重1.5kgほどになって府民の食卓に届くと期待されています。

ふぐから生まれる
多様な文化
「河豚は食いたし命は惜しし」の諺にもあるように、複雑な魅力を持つふぐの存在は、時として人を創造の世界に誘うのかもしれません。

例えば、「河豚(冬の季語)」をモチーフにした多くの句が詠まれています。

河豚汁の われ生きている 寝ざめ哉  [蕪村]
河豚食わぬ 奴には見せな 不二の山  [一茶]

そのほかにも日本には、ふぐにまつわる短歌や川柳、また絵画や書、民芸作品なども多く残されています。







日本のふぐ文化の民俗学的象徴として、スミソニアン博物館から寄贈の要請(1956年)を受けた。北濱さん制作のふぐ提灯。


※表記について
 生き物としてのフグは「フグ」、文化としてのフグは「ふぐ」と表記する。