なぎさ海道

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特集

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vol.4
2015.6.29



明石海峡周辺のマダコの漁獲量


兵庫県立水産技術総合センター 水産技術センター
 資料より


日本一を誇る
明石のマダコの漁獲高
日本のマダコは、本州以南の海域いたる所で漁獲されますが、漁獲量日本一を誇っていのはやはり明石市です。
2014年度の明石市内のマダコの漁獲量は1063トン(明石市役所広報課)。グラフでは、’13、’14年度の6月の漁獲高が過去5年平均よりもグンと増えています。もしや、半夏生の風習の盛り上がりで需要が増えた現れでは? 兵庫県立農林水産技術総合センター資源部の長浜達章さんに伺ったところ、「需要との関連というよりは、天候、水温などの影響で例年より海の中に生息しているマダコの数が多かったり、マダコの成長が早かったりしたことによるのではないでしょうか」とのこと。今のところ半夏生の風習と消費行動に大きな変化は見られないようですね。

ところで、私たち消費者がふだん口にするマダコは明石産なのでしょうか?

実は都市部のスーパーマーケットなどに並ぶマダコのほとんどは、モーリタニアやモロッコからの輸入ものです。
養殖するには採算が合わないなどの理由があり、日本のマダコの供給は輸入に頼っているのが実情です。
鮮魚店でも国産のマダコに出会う機会は少なくなりました。
せめて旬くらいは国産のマダコが食べたいと考える人も多いでしょう。

山嵜さんは、「価格は輸入ものの1.5倍ほどになりますが、旬のころ、近所のスーパーマーケットや鮮魚店で個別注文すれば、近隣の漁港で水揚げされたマダコを仕入れてくれるはずですよ」と教えてくれました。
時には鮮魚店の人と直接会話をしてみると、思いがけないお魚情報を仕入れることができるかもしれませんね。

活きたタコは
きちんと締めて、しっかりさばく!

活きたマダコを入手したら、おいしく食べるために、まずはきちんと締めてしっかりさばく、
この一手間で食感はまったく変わります。
ここでは、締め方、スミ抜き、塩もみ、そしてマダコ本来の甘みと歯ごたえを引き出すためのゆで方のポイントを紹介します。

1.締める
 目と目の間をナイフで刺し、心臓(えら心臓ではありません)を
 的確に突く。



3.塩もみ
 塩と金ザルを準備する。足、あたま(胴)ともにヌメリがあるの
 で、塩もみして洗い流す。吸盤内のスミも残さず洗う。






2.スミ抜き
 1) あたま(胴)を裏返して内臓を出す。
 2) 肝に貼りついている黒いスミ袋を肝ごと取り外す。
 3) 内臓のスジを切りながら、スミ袋を取り出す。
 4) 料理に使いやすいように、頭部、足を切り離しておく。

4.ゆでる 
 1) 水に海水より少し濃い程度の塩(4%以上)を入れ沸騰させる。
 2) あたま、足の順で投入し、再沸騰後2分ほどで加熱を止める。
     余熱で2分置き、氷水に入れる。
 3) 皮は赤く、断面の身は白く、中心部は半透明のアルデンテの
     状態が最適。ゆで過ぎないこと。
 4) 余分な皮を切り取り、薄切りかぶつ切りにして出来あがり。


→  スミ袋の取り出し方はコチラ
明石で生まれ、明石で育った
玉子焼き!?
タコを使った料理といえば、酢の物、煮ダコ、タコ飯などが人気です。そして、明石の庶民の味といったら、まん丸でぶつ切りのタコが入った明石焼き(地元では玉子焼と呼ぶ)。 大きなタコが入ったふわふわの玉子焼を三つ葉やネギの入った出汁につけていただく味わいは、大阪名物のタコ焼きとはまた違ったおいしさです。

正式な由来は定かではありませんが、明石生まれで明石育ちの山嵜さんが、自身の思い出から、明石焼きと人々のつながりを話してくれました。

「漁師は昔、漁に出られない冬場に、セリで値のつかない雑魚でかまぼこやさつま揚げなどの練り製品をつくっていました。練り製品には卵白が必要で、卵黄が余ります。卵黄だけを使う料理は? それで玉子焼が始まり、味と食感に変化をつけるためにタコを入れたようなのです。僕らが小さいとき、ハマの駄菓子屋さんの玉子焼にはコンニャクが入っていましたけど……」

明石焼きとタコ焼きの関係は諸説あるようですが、どちらも、おいしいマダコが水揚げされる関西ならではの食文化なのですね。





明石焼き 明石の浜の店にて

魚好きを増やしたい!
思がつまった写真展
多くの人に魚に興味を持ってもらいたいと願い、山嵜さんは、料理教室や講演など、たくさんの魚体験イベントを開催しています。

一方で、まずはシンプルに魚を見てもらおう、そのためには「写真が一番!」と思いつき、魚を撮りはじめたそうです。

明石に水揚げされる130種類ほどの魚の姿を撮るだけではなく、自然界で生きる魚そのものが持っている美しさや魅力を知ってほしいと、「目」「体表の模様」「しっぽ」を撮り続けています。

「生き物はみんなそうですが、魚にも個体差があって同じ種の魚でも体型はもちろん、体表の模様などにも違いがあってその面白さを表現しています。もう一つ、写真で伝えたかったのは、目だけはそれほど個体差がないということです。例えば新鮮なマダコならどれもツヤツヤした目をしています。目を見て、その魚の鮮度、締められた時間や状態などの情報も得ることができるんですよ」と山嵜さん。

これまでに6回ほど、神戸や明石市内で山嵜さんの写真展が開催されています。




※本号に掲載の写真は、山嵜清張様よりご提供いただきました。




天然の紋様 魚の模様(2009)「明石市立文化博物館」にて


マダコの目